女性活躍推進法の施工により、女性の管理職比率向上に向けた取り組みがなされている一方で、管理職世代に関わる更年期など女性特有の健康課題については、まだまだ認識が不十分です。ここでは、実際の経験を交え、正しい知識及び組織としての対策の仕方までご紹介させて頂きます。
女性活躍推進法の現状
先日の日経新聞の記事で、女性管理職比率について関東地方は16%、関西地方は17.3%といった記載がありました。様々な取り組みが行われているものの、まだまだ諸外国に比較し遅れをとっているのが現状です。ただ、それでも1986年に男女雇用機会均等法が施工されてから35年。私が初めて社会に出た平成5年から考えても、ずいぶん働く女性に対する考えは変化してきたように思います。
取組の問題点
女性が働くことに対する認識や、産休・育休に関わる環境は改善されてきていると感じます。女性管理職登用については、取組自体は賛成ですし、数値目標を持つことも大切だとは思いつつも、目標数字だけが先行し、管理者としての教育訓練・フォローや女性特有の健康課題に対する知識・対策など、管理職になってからの環境が整備されていないことに大きな問題を感じてしまいます。
管理職女性の世代に起こりうる体調変化
年齢とともに発生しうる健康課題は男女ともにありますが、女性の一生はホルモン変化によって大きく左右されてしまいます。管理職世代の女性に多い健康課題と、ホルモンが影響する疾病について一部ご紹介いたします。
【組織として捉えておくべき40代~50代の健康課題】
・家庭での役割(育児、介護等)、職場での職位など多様な視点が関係する疲労・ストレス
・更年期障害や疾病などに関わる体調管理・支援
<疾病例>
橋本病、乳がん、鬱気分(女性ホルモン欠乏の関係)、更年期障害、脂質異常症、骨粗鬆症、関節リウマチ等
【組織として捉えておくべき40代~50代の健康課題】
・家庭での役割(育児、介護等)、職場での職位など多様な視点が関係する疲労・ストレス
・更年期障害や疾病などに関わる体調管理・支援
<疾病例>
橋本病、乳がん、鬱気分(女性ホルモン欠乏の関係)、更年期障害、脂質異常症、骨粗鬆症、関節リウマチ等
更年期に関する男女の違い
【女性の場合】
閉経期前後の約10年間に卵巣ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することにより症状が現れます。
【男性の場合】
30歳以降睾丸ホルモンであるテストステロンの分泌が減少し始め40歳代後半で症状が現れることがありますが女性の場合と較べ、分泌量の変化が緩やかなため老化現象の一部と認識されて気付かれないことが多いと見られます。
大きな違いは、男性の性ホルモンが加齢によって緩やかに下降するのに対し,女性では急激な減少・喪失という,大きな性ホルモンの動きが40代後半~50代に訪れる点です。
閉経期前後の約10年間に卵巣ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することにより症状が現れます。
【男性の場合】
30歳以降睾丸ホルモンであるテストステロンの分泌が減少し始め40歳代後半で症状が現れることがありますが女性の場合と較べ、分泌量の変化が緩やかなため老化現象の一部と認識されて気付かれないことが多いと見られます。
大きな違いは、男性の性ホルモンが加齢によって緩やかに下降するのに対し,女性では急激な減少・喪失という,大きな性ホルモンの動きが40代後半~50代に訪れる点です。
管理職女性が影響を受けやすい更年期障害について
更年期の期間は一般的には閉経をはさんで前後10年と言われています(45歳~55歳くらい)。すなわち閉経への移行期である前の5年と、閉経後の後の5年の合計約10年間くらいの期間を「更年期」と言います。その期間の中で現れる各種症状において、日常生活に支障をきたす病態を更年期障害と定義されています。
更年期障害の主な原因は卵巣機能の低下であり、これに加齢に伴う身体的変化、精神・心理的要因、社会的文化的な環境因子などが複合的に影響することにより症状が発現すると考えられています。
更年期障害の主な原因は卵巣機能の低下であり、これに加齢に伴う身体的変化、精神・心理的要因、社会的文化的な環境因子などが複合的に影響することにより症状が発現すると考えられています。
更年期の症状例
更年期の症状は多種多様な症状がありますが、以下のように分類されると思います。
①激しい倦怠感のように体に現れる症状
②イライラするなどの心理に現れる症状
③判断力低下など結果として現れる症状
症状自体は人により異なりますが、実際に管理職をしていた私が感じた症状の一部です。
【当時私が感じた症状】
①体の症状
・船酔いのような感じのめまいがおこる
・とにかく身体がだるくて疲れが取れない
・夜中に何度も目が覚める
・朝起きることが辛い
②心理面の症状
・部下育成時において突然スイッチが入ったように怒りやイライラが止まらなくなる
・その後激しい自己嫌悪に陥る
・必要以上に不安になったり自信がなくなったりする
・帰宅後、毎晩涙が止まらなくなる
・理由なく突然不安が襲ってきて激しく動悸がする
③結果として現れる症状
・判断力の低下
・業務スピードの低下
①激しい倦怠感のように体に現れる症状
②イライラするなどの心理に現れる症状
③判断力低下など結果として現れる症状
症状自体は人により異なりますが、実際に管理職をしていた私が感じた症状の一部です。
【当時私が感じた症状】
①体の症状
・船酔いのような感じのめまいがおこる
・とにかく身体がだるくて疲れが取れない
・夜中に何度も目が覚める
・朝起きることが辛い
②心理面の症状
・部下育成時において突然スイッチが入ったように怒りやイライラが止まらなくなる
・その後激しい自己嫌悪に陥る
・必要以上に不安になったり自信がなくなったりする
・帰宅後、毎晩涙が止まらなくなる
・理由なく突然不安が襲ってきて激しく動悸がする
③結果として現れる症状
・判断力の低下
・業務スピードの低下
更年期障害の原因
日常生活や仕事に支障をきたしてしますような症状は、卵巣機能の低下が主の原因ではあるものの、それ以外の要因として更年期世代は多くの環境変化やストレスを抱えやすい状態にあります。恒常的な日常のストレスに加え、それらが複合的に影響することで、今までなら乗り越えられていたはずのストレスに耐えられなくなる。など日常生活に支障をきたしてしまうまでの症状が発現してしまうのです。
①環境要因
・親の介護や死別など
・子供の進学や独立
・仕事での重責や人間関係によるストレス 等
②精神・心理要因
・強い責任感から一人で抱え込んでしまったりしてしまう
・真面目に頑張りすぎてしまう
①環境要因
・親の介護や死別など
・子供の進学や独立
・仕事での重責や人間関係によるストレス 等
②精神・心理要因
・強い責任感から一人で抱え込んでしまったりしてしまう
・真面目に頑張りすぎてしまう
病状の判断と本人への配慮
更年期障害の状態である場合においても、当人自体が非常に不安であるということが言えます。私の場合も自分に何が起こっているのかが分からず、もしかしたら自分は鬱なのではないか?と非常に不安になったことを覚えています。まずは、一番困っているのは「本人」という配慮が必要です。そして、この年代には多くの疾病リスクもあることから、本人や周囲による自己判断は非常に危険であると考えます。きちんと病院で検査することをお勧めします。
受診のすすめ
業務上に支障が出てきているといった場合、管理者から受診を勧めてみることも1つかと思います。しかし健康課題に関わることであるため、信頼関係が築かれていることが前提となります。信頼関係が築かれていなかったり、誤った知識で声がけしてしまうと、かえって傷つけてしまう恐れもありますので注意が必要です。そういった場合は、関係性が築かれている同僚・先輩や、産業医など、他者の力を借りるなどの配慮も必要かと思います。受診は、更年期外来のある総合病院やレディースクリニックで検査が出来ますが、まずは本人が抵抗なく受診できる場所で良いと思います。
検査と診断について
私の場合は、更年期外来のあるレディースクリニックに行き検査をしました。症状を話したところ、まずは耳鼻科など症状に該当しそうな科を教えてもらい、先に検査をしてくるよう言われました。そして甲状腺の病気など含め、他の病気の影響からきているものではないことを確認したうえで、血液検査によりホルモンの値を検査し現在の状態について説明を受けました。
管理職女性が影響を受けやすい更年期症状に対する理解の浸透
私の経験上、更年期障害で最もつらかったことは、職場など周囲に正しく理解してもらえなかったことです。残念なことに更年期障害に対する知識はまだまだ浸透していません。加えて症状が多岐に渡ることから、同性であっても理解できるとは限らず、異性となると尚さらのことです。私の場合も、「老化では?、男性も同じ、どうして欲しいのですか?」などの言葉に、困惑と同時に残念な気持ちになったことを覚えています。
また、管理者なんだから、健康管理くらい自分でできないと!といった言葉を耳にすることもありますが、そもそもホルモン減少が主の原因です。エストロゲンの血中濃度が低くなる45歳くらいから、自律神経失調症の患者が増えるとの結果もあり、自分でコントロールできる範囲は限られているとの理解が必要です。先にも述べたように、一番困っているのは「本人」であるということを忘れずに、まずは理解する努力が大切です。
また、管理者なんだから、健康管理くらい自分でできないと!といった言葉を耳にすることもありますが、そもそもホルモン減少が主の原因です。エストロゲンの血中濃度が低くなる45歳くらいから、自律神経失調症の患者が増えるとの結果もあり、自分でコントロールできる範囲は限られているとの理解が必要です。先にも述べたように、一番困っているのは「本人」であるということを忘れずに、まずは理解する努力が大切です。
管理者としてすべきこと
更年期障害はホルモンの減少が主の原因ではありますが、それ以外の要因(ストレス・環境変化・性格など)が複合的に関連して症状が発生しますので、多面的に見ていくことが必要だと私は考えます。そのためには、どのような症状があるのか、どんな変化が起こっているのか等、取り巻く環境を把握することが大切です。しかし、多岐に渡る更年期の症状は、本人も伝えにくいものです。予め正しい知識をつけておき、状況を共有することが大切です。そして繰り返しになりますが、一番困っているのは「本人」という配慮と理解を忘れずに対応することが大切です。
職場としての対策
決まった答えはありません。なぜなら症状が多岐に渡ることを前提に、ホルモン減少以外の理由や、その人の置かれているポジション・キャリアビジョンは人それぞれ異なるからです。また、組織の状態も人数や業務内容など様々です。更年期の期間は10年ともいわれます。まずは本人の状態や希望を聞きながら、組織として出来るサポートや、働き方など、中長期の視点で一緒に考えていくことこそが大切だと考えます。
そして、女性活躍推進を掲げ、女性管理職を増やしていこうとされている企業様においては、以下課題についても、同時に進めていって頂くことが大切です。
①女性特有の健康課題に対する正しい知識の習得(女性自身・管理者)
②健康課題を踏まえたうえでの中長期のキャリア形成支援
③職場のサポート体制の構築
そして、女性活躍推進を掲げ、女性管理職を増やしていこうとされている企業様においては、以下課題についても、同時に進めていって頂くことが大切です。
①女性特有の健康課題に対する正しい知識の習得(女性自身・管理者)
②健康課題を踏まえたうえでの中長期のキャリア形成支援
③職場のサポート体制の構築
管理職女性と女性部下を持つ管理職向けサポートサービス
ここに記載させて頂いた内容は、実際に株式会社HANAEMIの代表である和田が経験した内容をもとに記載させて頂いております。今の私が言えることは、まずは女性自身も管理者も正しい知識をつけることの必要性を強く感じます。
またHANAEMIでは、法人様向けサービスとして「症状の見える化」が出来る独自ツールを用いたサービスを導入しておりますので、ご参考ください。
株式会社HANAEMI 代表取締役 和田聖子(産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
またHANAEMIでは、法人様向けサービスとして「症状の見える化」が出来る独自ツールを用いたサービスを導入しておりますので、ご参考ください。
株式会社HANAEMI 代表取締役 和田聖子(産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)