働く女性の更年期問題。職場のサポートが症状軽減につながる理由

職場の同僚・部下・上司など40代半ば～の女性に対し、何か以前と違うよな…と変化を感じたことがある方も多いのではないでしょうか？一概にはいえませんが、そんな時は「もしかしたら更年期の症状が影響しているかもしれない」と気にかけてみて下さい。

更年期の症状は有無含め個人差があります。急に顔や上半身が熱くなったり、汗が止まらなくなったり”ホットフラッシュ”が有名ですが、それ以外にも身体だけでなく精神面に出るものなど多くの症状があり、不定愁訴とも呼ばれ、明らかな身体的原因が認められないにも関わらず数々の不調が現れるのが特徴です。また理由もなく落ち込んだり、ちょっとしたことでカッとなってイライラが止まらなくなり、後で自己嫌悪に陥ってしまうなど、本人も自分に何が起こっているか分からなかったり、自己コントロールしにくいことも特徴の１つです。

＜更年期に問題となる症状の一例＞
血管運動神経症状（ホットフラッシュなど）、不眠、頭痛、認知機能低下（集中力低下など）、不安、抑うつ、その他（倦怠感　等）

近頃は男性の更年期が話題に上ることも多く、本人も職場としてもケアしていかなければならないテーマです。しかしそんな中あえて女性更年期を特に取り上げている理由として以下を掲げます。

①機能的な違い
男性の場合30歳以降睾丸ホルモンであるテストステロンの分泌が減少し始め40歳代後半で症状が現れることがありますが、大きな違いは男性の性ホルモンが加齢によって緩やかに下降するのに対し、女性では急激な減少・喪失という大きな性ホルモンの動きが40代後半～50代に訪れる点です。

②社会・文化的性別役割分担の影響
働く場としての社会は今まで男性で成り立ってきており、職場での性差別はまだまだ多く残っています。また育児や介護などが”女性の仕事”という無言の役割分担意識は女性自身の意識の中にもあります。

機能的な違いに加え、これら女性特有のストレスが更年期の症状にも影響しているため本人による治療やセルフケアだけでなく、職場としての理解やサポートが必要だと私は考えています。

重要なことは本人が最も苦しんでいるということ。くれぐれも茶化したりデリカシーのない言葉をかけることは論外です。

あなたが女性部下を持つ上司であるならば、ストレスマネジメントのラインケアと同様に変化と状態を正しく知ることが大切です。更年期の症状はホルモン変化（加齢）によるものだけではなく、ストレスや性格が大きく影響します。仕事で何か抱え込んでいないか、家庭環境において変化がなかったかなど、何か大きなストレスを抱えていないかを確認することが大切です。また感情コントロールが上手くいかず本人も困っているというケースもあるかもしれません。しっかり本人と向き合い話を聴いて下さい。但しそのためには日頃からの関係構築が必要であることは言うまでもありません。

私の経験からですが、判断力なども低下している可能性もあります。くれぐれも「どうしたいのか」を本人のみに問いただすのではなく、職場で出来るサポートは何かを一緒に考えていく姿勢で進めて頂きたいと思います。

日常生活に支障が出るような症状がある場合は、まず専門医の受診を勧めて下さい。なぜなら更年期の影響と思っていたら実は別の病気の影響だった。ということもあるからです。またストレスの影響が強い場合などは放っておくと「更年期鬱」などになってしまう可能性もあります。本人としっかり話をして受診をすすめて下さい。また部下との関係性や性別が異なることでセクハラへの発展が懸念され、声がかけづらい場合などは、産業医やカウンセラーなどの専門家の力を借りることも１つのです。