Female body 女性の身体について
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働く女性が知っておいたい対処法や職場への伝え方についてHANAEMIも取材協力させて頂きました。
正しい知識とケアの方法について産婦人科医の記事とあわせて是非読んで頂きたい内容です。
身体のメカニズムや女性ホルモンによる影響など正しい知識を身につけよう
まずは、私たちの身体の仕組みについてご説明いたします。私たちの身体は、常にバランスを保とうとする仕組み(恒常性)が備わっており、気温や疲労の溜まりなど体外環境が変化したときにその働きは強くなります。この恒常性を体内でコントロールしているのが、脳の視床下部という部分です。視床下部では、神経系・内分泌系(ホルモン)・免疫系が協力し合い、相互作用によりバランスを保てるようコントロールされているのです。
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内分泌系(ホルモン)の働き
内分泌系とは、ホルモンと呼ばれる生理化学物質によりさまざまな臓器の機能を調整しています。ホルモンは体内の特定器官や組織で合成・分泌されたあと血液を介して運ばれ、そのホルモンを受け取る受容体に結合。対象となる器官や組織に刺激を与え、特定の作用を発揮します。内分泌系の中枢となるのは、視床下部です。内分泌腺(ホルモンをつくる器官)として刺激ホルモンを分泌し、内分泌腺の働きをコントロールします。
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神経系の働き
神経系は解剖学的特性としては中枢神経と末梢神経に分類され、末梢神経の機能的特性としては体性神経と自律神経に分類されます。
自律神経は、呼吸・消化・吸収・発汗・体温調節・生殖機能など生命にとって重要な機能を無意識的・自動的にコントロールしているシステムのことで、活力を高める交感神経と、リラックスを導く副交感神経の2つがあります。■交感神経(心身の緊張に関連)
起床とともに働きだし日中にピークを迎えます。激しい活動を行っているときに活性化する神経です。■副交感神経(リラクセーションに関連)
夕方から次第に活発になり、夜から深夜にかけてピークを迎えます。身体を休めているときに活性化する神経です。 -
免疫系の働き
私たちの身体には、恒常性の維持において自己と非自己を識別し、非自己を排除する免疫システムのようなものが備わっています。これを生体防御といい、体内に異物(細菌やウイルスなど)が侵入すると、私たちの身体にはこれを排除しようと対抗する仕組みがあるのです。
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女性ホルモンとその働き
女性ホルモンには大きく分けてエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。体内のほかのホルモンと同じように下垂体によりコントロールされ、卵巣刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)との共同作業により卵巣から分泌されます。
■エストロゲン
妊娠に備えるホルモンです。月経後に分泌が高まり、妊娠を成立させるように排卵に向けて卵胞の発育を促し、子宮内膜を増殖させる働きがあります。また骨の成長や生殖器の発育を促して女性らしい身体つきをつくり、気分を明るくしたり、記憶力を維持したりするような働きも持っています。■プロゲステロン
妊娠を維持させるように働くホルモンです。排卵後から分泌が高まり、子宮内膜を厚くさせて受精卵が着床しやすい状態にするとともに、基礎体温を上昇させ、排卵を抑制する働きがあります。妊娠したときには、胎児と母体を守る大切な働きをします。また、体内の水分を保持して食欲を増進させる働きがあるため、月経前は身体がむくみやすくなることもあります。ほかには、乳腺の発達を促す働きによって月経前は乳房が張ったり、自律神経に乱れが生じて精神的に不安定になったり、イライラして落ち込んだりすることもあります。これらエストロゲンとプロゲステロンの増減が繰り返されることによって、月経周期はつくられています。そしてこの女性ホルモンは、視床下部→下垂体前葉→卵巣という一連の流れとフィードバックシステムによってコントロールされています。
女性ホルモンは卵巣から分泌されていますが、その卵巣に指令を出しているのが脳にある視床下部。視床下部や下垂体前葉にある上位ホルモンが増えると卵巣の下位ホルモンも増加し、増えた下位ホルモンは逆に上位ホルモンの分泌量を減らすように作用します。こうしてホルモンは一定レベルに調節されています。
一方、自律神経の中枢でもある視床下部。ストレスの影響を受けると月経周期が乱れたり、気分が落ち込んだり、更年期に不定愁訴といわれる自律神経の乱れが影響する症状が現れたりすることもあります。 -
ライフステージと女性ホルモン
女性の一生は女性ホルモンとともにあるといっても過言ではないほど影響を受けます。それぞれのステージにおいて、エストロゲンの増減によるさまざまな不調や病気に見舞われることもあります。
■思春期
女性生殖器の未熟さから起こる月経不順や月経前症候群(PMS)、月経痛などがあります。■成熟期
妊娠・出産を迎える時期。その一方で不妊の問題が生じたり、女性生殖器系の病気(子宮筋腫・子宮内膜症など)や、がん(乳がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんなど)にかかったりしやすい時期でもあります。■更年期
閉経年齢前後の約10年間の期間を更年期と言います。その期間に生じる精神的・身体的な症状で、他に器質的な疾病が無いに関わらず日常生活に支障が出るほど重い状態を更年期障害と言います。 -
具体的な心身の不調
■月経不順
正常な月経とは一定の周期(25~38日)で、月経期間が3~7日間続き、月経血に塊は混じっていません。この範囲を外れる場合を月経不順といい、20~40代の成熟した女性においては、ホルモンの乱れや卵巣・子宮の病気が原因であることが多いようです。■月経前症候群
月経が始まる3~10日程前から起こる心身の変調で、月経が始まると消失します。症状は人によってさまざまですが、特に理由もなくイライラしたり落ち込んだり、むくみがひどくなったりするほか、腰痛・腹痛・頭痛・乳房痛などの症状もあります。■月経痛
体外に子宮内膜や月経血を押し出すために子宮が収縮することで現れる痛みのことです。月経開始後1~2日目くらいに症状が強く出ますが、徐々に消失していきます。症状としては、吐き気や目まい、イライラ、憂鬱などがあります。■更年期障害
40代半ば頃からのエストロゲンの分泌減少にともない、明確な原因がないにもかかわらず、冷え・のぼせ・動悸・意欲低下・頭痛・目まいといった日常生活に支障が出るほどの身体の不調が現れます。骨の維持管理能力も低下するため、骨粗鬆症も大きな問題です。これらホルモン変化による心身の不調は、ストレスによる身体的・心理的反応とも類似しているため、何が原因で引き起こされている不調か自分自身で把握し、ケアしていくことが大切です。